小さく生まれた赤ちゃんのママへ~早産児のQ&A


早産児と呻吟(しんぎん)

呻吟(しんぎん)とは、呼気時に「うーっ、うーっ」とうめくような声をともなう呼吸する状態をいいます。正常な場合は、呼気の終わりは「ふぅー」という音が聞こえます。
聴診器を使わなくても聞こえる場合もあり、赤ちゃんが苦しんでいるとお母さんも不安を訴えます。

赤ちゃんの肺が膨らむメカニズム

肺は小さな袋の肺胞がぶどうの房のように集まっていて空気を吸い込む吸気でと膨らみ、吐き出す呼気でしぼみます。
胎児は呼吸を行ってはいませんが、肺はしぼんでいるわけではなく肺胞の中は肺水で満たされて膨らんでいて、このことで生まれてすぐに呼吸がスムーズに開始することができます。
肺水には、肺サーファクタント(界面活性剤)が含まれています。
分娩時、胎児は産道を通過するときに強く圧迫されることで肺胞を満たしていた肺水は圧出され、空気に置き換えられます。しかし、肺サーファクタントは肺胞内に残ります。
肺水が取り除かれた肺胞は自然に縮もうとするのですが、肺サーファクタントが肺胞内に残っていることで、肺サーファクタント同士の電気的な反発力により肺胞は潰れてしまわずに呼吸を始めることが容易となります。
この現象は、完全に萎んだ風船は強く息を吹き込む必要があるのに対し、少し膨らませた風船がであれば楽に膨らませることができるという例えで説明されます。

呻吟が起こるメカニズム

呻吟は、声帯を半閉鎖の状態で呼吸を行うことにより生じる音です。
声帯を半閉鎖の状態で呼気を行うことにより、呼気時に陽圧を加えることとなり肺胞の虚脱を防ぐことができます。

呻吟が起こる理由

呻吟は、吸気時に気道を狭くすることで肺胞に陽圧をかけようとする行為で、肺胞が虚脱するのを少しでも防ごうとする自然の防御策で肺の拡張が不十分であることが判断できます。

早産児に呻吟が聞かれる理由

胎児は妊娠3~7週間に肺および気道などの呼吸器系のもとが発生し、妊娠5~17週に分化がすすみ、気管支樹枝様構造をとります。その後、妊娠16~26週になると肺胞構造が出現し、妊娠24~38週に肺胞が発達し、肺胞内にサーファクタントが分泌されます。
呻吟は、肺が十分に膨らめないことで起こります。
胎児の肺は、妊娠26週には構造が完成するのですが、妊娠34週以前に生まれた早産児の場合、肺胞面積が少なく、肺サーファクタント産生が不十分であるため呻吟が聞かれます。

呻吟を症状とする疾患

呻吟が、肺の拡張が不十分であることが示す症状であり、以下のような疾患の場合にみられます。
●肺サーファクタントの欠乏
呼吸窮迫症候群、胎便吸引症候群などは肺サーファクタントの活性低下など、肺の広がりやすさが低下し、肺胞が広範囲に虚脱している状態により起こります。
●肺胞含気低下の代償
新生児一過性多呼吸、気胸、肺低形成症などは、肺胞含気が低下するのを代償するため胎児自身が呼気時に声門を中が閉じることによって気道に陽圧をかけ、肺胞の虚脱を防ぎ、機能的残気量を維持しようとするためにおこります。

呻吟があるときの検査

呻吟がある場合、心拍・呼吸モニターなどを装着してSpO2値の確認されます。
胸部レントゲン検査、血液検査(血液ガス、検血、CRP、血糖、カルシウム、LDH、CPKなど)、心臓・頭部エコー検査などがおこなわれます。

呻吟があるときの処置

早産児で肺サーファクタントが不十分である場合は、人工肺サーファクタント充填療法が根本的な治療として行われます。
また、原因となる疾患の治療がおこなわれます。


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