小さく生まれた赤ちゃんのママへ~早産児のQ&A


正期産児(成熟児)の血液系の特徴

新生児のヘモグロビン

胎児期のヘモグロビンである胎児ヘモグロビンは酸素に対する親和性が高いという特徴があります。
正期産児の出生時のヘモグロビン濃度の平均は約17g/dlなのですが、出生後は酸素濃度環境が変化するためこの多量の赤血球は不要となります。特に低酸素環境で必要であった胎児ヘモグロビンを含む赤血球は不要となるため出生とともにこの赤血球の溶血がおこります。
ヘモグロビン濃度は、出生直後は脱水症状により軽度の上昇をみますが、その後は溶血により減少します。この溶血によるヘモグロビンの産生が新生児黄疸の原因となります。
胎児ヘモグロビンの溶血と成人ヘモグロビンの産生により、出生時に全体の70~80%を占めていた胎児ヘモグロビンは減少し、生後6か月頃には痕跡程度となります。

新生児は多血

新生児は生理的に多血状態にありますが、この生理的範囲を超えて多血となると血液の粘度が増して循環不全状態となってしまいます。この状態を多血症あるいは過粘度症候群といいます。
通常ヘモグロビン濃度が22g/dl以上あるいはヘマトクリット値が65%以上で多血症と診断されます。
出生直後、臍帯の結紮が遅れた場合や出生後、新生児が母体よりも低い位置に長い間おかれるた場合に多血症となります。
過粘度症候群の状態では、末梢循環が障害を受けるだけでなく、血栓による梗塞を全身の臓器に起こすリスクもあります。

新生児の凝固因子

ほとんどの凝固因子は胎盤を通過しないため、胎児自身で産生することになります。
新生児の凝固因子の特徴は、ビタミンK依存性の凝固因子は低値であり、問題となることがあります。ビタミンKは腸内細菌により産生されますが、出生後間もない新生児では、腸内細菌が存在しないため、母体由来のビタミンKが消費されてなくなる生後4~5日に凝固因子が不足して、消化管出血を起こす新生児メレナを起こしやすくなります。

正期産児(成熟児)の血液の上限値と下限値

白血球数 赤血球数 ヘモグロビン ヘマトクリット 血小板数
上限値 4800/цL 290万/цL 8.7g/dl 25.5% 28万/цL
下限値 18450/ц 410万/цL 13.5g/dl 39.0% 91万/цL

正期産児(成熟児)の一般血液検査基準(平均値)

ヘモグロビン
(g/dl)
ヘマトクリット
(%)
赤血球
(万/цL)
MCV
(fL)
MCH
(pg)
MCHC
(%)
出生時
(臍帯血)
16.5 51 4.7 108 34 33
3日まで 18.5 56 5.3 108 34 33
1週まで 17.5 54 5.1 107 34 33
2週まで 16.5 51 4.9 105 34 33
1ヵ月まで 14.0 43 4.2 104 34 33