小さく生まれた赤ちゃんのママへ~早産児のQ&A


常位胎盤早期剥離とは

常位胎盤早期剥離とは、妊娠後半期に正常位置に付着している胎盤が妊娠中または分娩中に胎児の娩出に先立って剥離するものをいいます。
常位胎盤剥離の発生頻度は全分娩の0.3~0.9%、反復発生は53%にみられ、母児ともに重篤な障害をもたらす危険性が高い産科救急疾患の一つです。

常位胎盤早期剥離の誘因

常位胎盤早期剥離の直接の原因は解明されていませんが発症誘因としていくつか挙げられます。
以前は、妊娠高血圧症候群に合併する疾患とされていましたが、その合併率は25~50%です。
現在、子宮内感染症(絨毛膜羊膜炎:CAM)との関連性が注目されています。
その他、腹部外傷や外回転術、前期破水・羊水除去・双胎分娩など急激な子宮内圧変化などによる器械的外力、高齢、多胎などの関連すると考えられています。また、喫煙妊婦の発症率は非喫煙妊婦の2倍であるという報告があります。

常位胎盤早期剥離の症状

常位胎盤剥離の症状は、胎盤の剥離の程度により様々です。
①突然の腹部激痛から緊張性の鈍痛までさまざまであるが剥離部痛があります。
②胎動の減弱、または消失感。
③内出血による急性貧血、顔面蒼白、チアノーゼ、冷汗、脈の微弱、呼吸の切迫、あくびなどのショック症状。
④多くは外出血を伴い、陣痛間欠期に増量し、出血量はあまり多くありません。
⑤急激な子宮底の上昇、子宮体部の膨隆および圧痛、腹部の緊張など。
⑥胎児心拍や胎動は腹壁緊張のため聴取や蝕知が難しくなります。
⑦陣痛は不定。

常位胎盤早期剥離の検査と診断

常位胎盤早期剥離の母児の予後を左右するものは早期発見であり、症状が軽度のうちに診断することが重要となるのですが、軽症例の発症早期は、急激な下腹部痛などの典型的な症状がみられることは少ないため早期発見することは難しいといえます。
重症例は症状から容易に診断ができますが、その場合手遅れとなるケースもあります。
少量の性器出血、軽度の腹部筋満感、下腹部痛などの症状がみられた場合、以下のような検査を行い早期発見が重要となります。

母体側の検査

母体に行われる検査としては、血液一般検査、肝機能検査、腎機能検査、尿一般検査、血液凝固系検査、心電図、胸部レントゲン検査、血液ガス分析、眼底検査、脳波、頭部CT、MRIなど。

胎児側の検査

①胎児胎盤機能検査…母体血中ヒト胎盤ラクトゲン、尿中エストリオール(E3)など。
②超音波検査…胎児発育遅延、羊水過小、パルスドプラ計測(臍帯動脈、子宮動脈、中大脳動脈)など。
③バイオフィジカルプロフィールスコア…健康状態のチェックなど。

常位胎盤早期剥離の治療・管理

常位胎盤早期剥離の治療は、胎児生存の有無、ショック状態の有無、DICの有無などにより治療・管理は異なります。
常位胎盤早期剥離と診断され場合は、急速遂娩がおこなわれます。基本的には帝王切開が選択されますが、子宮口全開大で帝王切開をおこなうよりも速く分娩ができる場合は、経膣分娩が可能な場合もあります。

常位胎盤早期剥離の胎児の予後

産科医療補償制度で補償対象となった字(2011年12月末までに公表された79事例)のうち、脳性麻痺の原因として最多の原因は常位胎盤早期剥離であり、妊娠分娩中の低酸素に起因する脳性麻痺児中、常位胎盤早期剥離はその1/4症例の原因となっていました。
重症例の母体死亡率は約1~2%、児死亡率は30~50%と高く、常位胎盤早期剥離と診断された場合は、可能であればNICU(新生児集中治療室)など新生児に対する高度医療がおこなえる施設へ母体搬送することが大切です。